社会風刺ユーモアコラム〜ハブの卵〜

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☆たったの3人から我々のリーダーを選ぼう!☆

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 まずはじめに簡単なクイズを一つ。

Q:この政治家が、絶滅危惧種なるのに程遠いほど多すぎる現代の世界で、政治家がたったの3人しかいない国がある。それはいったいどこでしょうか?

1・北朝鮮
2・ムツゴロウ王国
3・村上春樹の頭の中
(答えは、20行後)


 政治家のいない世界。これは、アダムとイブですら夢想したとされる、おそらく世界最古のユートピアである。

イブ「ねえ、アダム。このリンゴを食べてみましょうよ?」
アダム「ダメだよ。そんなことしたら、また議員連中に”働かずにメシを食うニート”とか言われちまう。ああ、あいつらがいなかったらなぁ。」


 政治家のいない世界というのは、無駄なダムの建設も、議員年金制度も、国家間紛争も、不毛な国会論議も、国家動員法も、有事法制も、国会の壁に貼られる 肖像画も、選挙前の虚言の数々も、鈴木宗男もない、素晴らしい世界であるという。そんな世界を、我々は日々心に描いているが、残念ながら政治家というの は、国家にとってなくてならない存在であり(と本人達は言っている。)、おまけに彼らはゴキブリなみの生命力をもっているので、政治家のいない世界など、 この地上では決して実現できない。・・・と思っていた。

 だが、一人もいない訳ではないが、たったの3人しか政治家がいない国がこの地球上に本当にあるのだ。
その国こそ、我らが日本である。


「えっ!?日本に政治家が3人しかいないってどういうこと?もっといっぱいいるように見えるけど・・・」
週刊子どもニュースのキモイ子ども達を髣髴させる反応をありがとう。確かに、この国には政治家が腐るほどいると言われていたし(ほとんどは実際に腐ってる とも言われてきた。)、選挙期間になれば、政治家が蛆のように湧いて出てくる映像もいたるところで見ることができた。

 だが、今テレビをつけてみれば、それが誤りである事は一目で分かる。どこのチャンネルのニュースを見ても題材は自民党の総裁選ばかりで、テレビに出てく るのは、安倍、谷垣、麻生(ちなみに、彼らはいつも、申し合わせたかのように、この順番で出てくる。)の3人の政治家だけなのだ。
 しかも、彼ら3人の挙動は、逐一メディアによって報道される。それこそ公約、人柄から、趣味、著作、飼い犬の夕飯まで、詳細に伝えられるのだ。そのほ か、大新聞は3氏だけを明示して”誰が首相にふさわしいか?”と世論調査を行い、テレビ各局は道行く人に”誰になってほしいか”を問うのだ。
 その一方で、他の党の政治家は、例え731部隊特集の合間に間違ってでも出てこない。これらを見ていれば、この国には3人しか政治家がいないと思うのも 当然ですね。
(ちなみに、安倍の支持者に支持の理由を問うと”他に適当な人がいない。”が”俺のをしゃぶってくれた”に次いでランクインする。そりゃあ、あなたが3人 しか政治家をしなければ他に適当な人はいないでしょうね。)

 しかし、彼ら3人は同じ党の政治家であり、その主張には嵐とKAT-TUN程度の相違点しかない。にもかかわらず、まったく主張の違う別の党の言い分は まったく見せられずに、彼らの主張だけが飛び交い、それを見た上で誰の政策がよいかを論じ合ってるのだ。

 こんな自民党の主張ばかりがメディアで取り上げられる状況で、選挙をした場合、結果がどうなるかは、やる前からでも容易に想像がつく。なにしろ、我々は 聖教新聞かしんぶん赤旗を読まなければ、他党の主張も他党の政治家の人間も知ることができないのだ。
そんな知らない党に投票する有権者など果たしているだろうか?何の情報もなしに最上川の上流から日本の明日を考える会の候補者に投票したら、その候補者が ゲルガメック星人だったという事にならないなど誰がいえるというのか?
 そうなればメディアで取り上げられた候補者、党が勝つのは日を見るより明らかだ。片方がテレビで取り上げられた時点で、選挙の結果はついているのだ。

 ということは、残念ながら、社民党、国民新党、共産党、新党康夫、新党宗男、オウム真理教、ライフスペース、法の華、摂理、などといった少数政党には勝 つ見込みがほとんどない。彼らがテレビに出るのは何か問題を起こしたときだけで、それ以外でマスコミに取り上げられる事はない。それゆえ、彼らの中の誰一 人として我々に知られていないからだ。だから、少数政党の候補者の自宅では選挙の度に以下のような光景が繰り広げられるわけですね。


 ある国民新党の候補者が、選挙の後にくたびれた様子で家に帰宅し、ため息をついた。すると、それを見た彼の妻が質問した。
「どうだった?何票入ったの?」
彼は、かぶりをふってこう答えた。「たったの2票だよ・・・信じられるか?」
すると、突然妻が彼の頬をひっぱたいた。
「おいっ!いったい何するんだよ!?」彼は、驚いて言った。
「何するかですって?」妻は言った。「あなたは、いつからその女と付き合ってるのよ!?」

閑話休題

 しかし、これはジョンベネちゃんブームと同様極めて異常な状況である。政治家という職業の本来の役割は、大企業の社長とノーパンしゃぶしゃぶに繰り出 す・・・じゃなかった。我々の声を代弁する事ですね。(たとえそんな政治家が村上春樹の頭の中にしかいなくともだ。)そうであれば、我々は多くの政治家の 中から、自分の考えに最も近い人間を支持しなければいけない。それには、政治家の数は多く、意見は多様でなければいけないし、また、多くの政党、政治家の 考え、人間性が国民に知らされなくてはならないのだ。それなのに、同じ党の人間で、意見がほとんど同じの、たったの3人の人間だけしか、国民の前に陳列し ないというのは、民主主義にとって、自殺行為もいいところだ。

 昔々、キリスト教の聖書によれば、たった3人の賢者が救世主を迎えた。時が流れて現在。たった3人の政治家(賢者とはいい難い・・・)が、迎え入れるも のは、多様な意見に基づく健全な民主主義ではなく、反対意見の存在しないくだらない独裁国家だけかもしれない。

06.09.21
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