あけましておめでとうございます。
今回は、新年第一回ということで、新年にふさわしくブッシュ大統領の話題をお伝えしよう。
ちょっとそこ!またかとか言わないでくださいよ。まあ、確かにぼくは、反米コラムニストとか、エネミーオブアメリカとか、のっぽのコミーとか呼ばれるほ
ど、年がら年中、寝てもさめても40℃の高熱でも、ブッシュの話ばかりしていますよ。
でも、これだけは分かって欲しい。ぼくは、いつもブッシュを酒の肴にしてるが、ブッシュが、嫌いで憎くて、顔を見るとヘドが出て、声を聴くと腹の虫がう
ご
めき、できることなら、ミンチにして両面を焼き上げてピクルスと一緒にハンバーガーに挟んで犬に食わせたい、と思ってるだけなわけではない。
ぼくを突き動かすもう一つの感情は、できることなら、ミンチにして一口サイズに丸めて豆腐ねぎ白菜その他と土鍋で煮てポン酢をかけて猫に食わせる、といっ
たものだ。
失礼。感情が一人歩きしてしまった。そうではなくて、ぼくが言いたかったのは、ぼくにだって彼を立派に思ってる面も、無論少量だが確実にあるということ
だ。
3日ぐらい寝ずに考えれば、彼の尊敬できる部分も思い当たるし、彼に教わることだってある。現にこうやって、どんなにトイレのブラシほどの知能しか持ち合
わせてない人間でも、人に教えることがあるということを教えてくれているではないか。
さて、ブッシュがぼくに教えてくれた事で、もっとも有益だったのが、アメリカのような自由で民主主義的な国家と北朝鮮を代表とする抑圧的な独裁国家の違
い
について教えてくれたことだ。
この二つの国家体制は、よく比較され、しばしば双方の間で舌戦や拳戦、ミサイル戦がくりひろげられるが、ぼくは実際の違いが何なのかよく分かっていな
かっ
た。
民主主義国家は選挙ができ、独裁国家ではそれができないと昔から教えられ続けていたが、本質はそれほど単純ではないような気がしていたからだ。
ぼくは多くの人々にこの質問を尋ねたが、答えは誰一人教えてくれなかった。みな、前述の決まりきった答えばかり口にし、そうでない場合は、週間子ども
ニュースばりの倫理観による「独裁国家はいやですね」的説明である場合がほとんどだった。だが、ある日一人の男がその謎に答えをくれた。そして、その男こ
そブッシュ大統領だったのだ。
彼がぼくにそれを教えてくれたのは、ぼくが、彼が講師を務めるセミナー”民主主義とは何か”に出席したときのことだった。
「みなさんこんばんは。合衆国大統領のブッシュです。ジョージって呼んでください。それから、こっちにいるのは、私の妻のコントリーザ・・・やべっ!ロ、
ローラです。」
「それでは今日は、”民主主義とは何かという”タイトルどおり、みなさんに民主主義についてお教えしたいと思います。まず、イラク政策ですが、確かに大量
破壊兵器はありませんでしたが、イラクを攻撃したのは正しい選択だと思っています・・・」
その後の講演自体は、彼が「私とシュワちゃんはマッチョだ。」というジョークを飛ばした以外は、自身の政策の自画自賛ばかりで、正直聞く価値はなかった。
だが彼が、民主主義と圧政国家の違いを述べるくだりだけは別だった。
「・・・であるからして、私のイラク攻撃は正しかったわけです。では、民主主義と圧政国家の違いについて説明しましょう。民主主義は少数意見を持つ人が立
法過程で意見を表明することができるが、圧政国家ではこうした権利がないのです。」
つまり、こういう事だ。圧政国家において、少数意見をもつものは、それを口に出すことができない。もしそれを口にすれば、すぐさま警察やら軍隊やらが飛
ん
できて、ボコボコになるまでぶん殴られるからだ。こうして、少数意見は封殺され、為政者は自分たちの好きなように事を進めることができるのだ。
だが、民主主義の国では、誰でも少数意見を口にできる。ゲイの権利も訴えられれば、医療費の値下げも、死刑反対も、政府広報にコラムを書かせろとも訴え
ら
れる。そして声高に訴えた結果、皆に白い目で見られ、多数決の論理で少数意見は封殺され、為政者は自分の好きなように事を進めることができるのだ。
なるほど、これが、これだけが、民主主義と圧政国家の違いというわけか。天と地ほども違うと教えられてきたので、少々意外な答えだが、世界最高の民主主
義
国家を自認する国の大統領にして、世界に民主主義を広げようとしている男が言うのだからおそらく間違いはないのだろう。
そんなわけで、これほど重要な事を教えてくれたブッシュにぼくは感謝してる。だから、この場を借りてお礼をいいたい。
ありがとうブッシュ。そして、今年もよろしくお願いします。
2006.01.06
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