先日、あのミスター・ビーンを36時間に及ぶ死闘の末に帝王切開で生み出した事で有名なユナイテッド・キングダムことイギリスで、人類史上例のない画期的
なイベントが行なわれた。
英国人たちは、このイベントに熱狂し、大量のビールを消費し、薬を打ってラリッていたそうだ。また、一説にはあの王子達もがお忍びでイベント
に参加して、酔っ払った親父たちに「このナチ野朗!」と罵られ、ビール瓶を投げられていたという。当然のことながら王子自慢のSS(ヒトラー親衛隊)の制
服は水浸しになった。
さて、そのイギリス人達が、我を忘れてまで熱狂したらしいイベントは、歴史と伝統あるロンドン動物園で開催された。だが、開催されたといっても、どっか
の万博やオリンピックのように、数百億という大金をかけて、森を切り倒したり、施設を作ったり、電飾で飾り付けたり、プリンスホテルを建設したりという事
はなかった。当日ですら、動物園の中はいつもと変わりがなかったそうだ。ただし、一箇所を除いて。
その一箇所とは、普段熊が入っている檻だ。その日檻に熊はおらず、代わりに人間が入っていた。そう、この動物園は、人の展示をしたのだ。
この企画は、人間も動物の一員である事を意識させるために行なわれたらしく、8人の人間が4日間檻の中で過ごし、主に遠足の子ども達の見世物になるとい
うものだった。
これは、まさしく画期的な出来事であり、イギリス人がラリるのも無理がないだろう。これまでの動物園に人間関係の展示は無に等しく、最も人間に近い展示
ですらチンパンジーにエサをちらつかせて芸をさせるというものだった。つまり、我々人類はあまりに長い間観察する側という地位にアグラをかいて、ビール片
手に巨人戦を見すぎてきた。
おかげで、これまでの我々が動物園で学んだ事といえば、レッサーパンダが立つとか、サルのコミュニティーは上下関係が厳しいとか、動物園は臭うとかい
う、どうでもいい情報ばかりで、人間の多様性などといった人間を理解するうえで本当に必要な情報は、動物園からまったく与えられてこなかった。
だが、今回のロンドン動物園の一件で、動物園も変革していくかもしれない。人間も動物の一員である事が認識され、もっと人間関係の展示も増えるかもしれ
ない。そうなれば、様々な人種、職種、性的嗜好を持つ人が展示されるようになり、我々はもっと人間を理解できるようになると思う。
そんなことは、夢のまた夢かもしれないが、ぼくは、この夢のような動物園を夢想せずにいられない。きっと、素晴らしい空間なのだろう。
「パパ。早く早く!」
「おいおい、太郎。そんなに急ぐなよ。ゆっくり行っても、檻の中の動物は逃げないよ。」
「パパ、パパ。ほらライオンだよ。強そうだな。」
「太郎。それは、違うぞ。小泉首相だ。総理大臣の檻だよ。」
「あっ、本当だ。人間だった。」
「人生いろいろ。会社もいろいろ。ライオンもいろいろです。」」
「パパ。こっちにはタカがいるよ。ほらほら。」
「太郎。それは、安倍しんぞーだよ。」
「経済制裁をいますぐ発動すべきです。」
「じゃあ、このタヌキは?」
「そりゃあ、森前首相だよ。」
「日本は神の国でありなんちゃらかんちゃら・・・」
「はあ、パパ。この動物園、全然面白くないよ。動物がいなくて、人間ばっかりなんだもん。もっといろんな動物が見たかったのに・・・」
「そうだな、人間の展示を始めたことを知っていたが、まさかこんなに政治家だらけとは・・・待てっ!太郎!あそこを見ろ。犬がいるぞ。ほら、犬だぞ。
犬。」
「パパ、よく見てよ。それも小泉首相だよ。」
「ブッシュさん、どこまでもついていきます!」
2005.09.09
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