社会風刺ユーモアコラム〜ハブの卵〜

コラム☆実録!ブッシュ訪日記!2☆

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ここまでのあらすじ

遠い昔。はるかかなたの銀河系で、ヘイデン・クリステンセンがダークサイドに引き込まれた。
おしまい。(それだけの話に9時間近くつぎ込みやがって、まったく・・・)


 ブッシュの日本2日目は、ヘリコプターの轟音で始まった。不審な奴が比叡山からハンググライダーでやってきてブッシュに攻撃をしかけないか、警察が上空 か ら見張ってるわけだが、その音はあまりに大きく、会話による意思疎通が困難になるくらいだったという。

男A 「俺、昨日焼肉食べてさー。」
男B 「鼻クソ野郎はお前のほうだ!!」

閑話休題

 ヘリコプターの音ですがすがしく目を覚ました大統領は、二度寝したのち、ローラに文字通り叩き起こされ、それからラジオ体操、トイレで新聞、コーンフ レー クという大変日本的な朝をたしなんだ。この朝について、大統領は「我々はテロに屈しない!」とコメントしている。

 食事を終えた大統領夫妻は、京都迎賓館で2番目のセールスポイントである日本的な技術を駆使した和室に移動し(ちなみに最大のウリはコンビにまで歩いて 2 分の事)、朝の日課である石油メジャー企業への便宜をはじめた。すると、そこへ自転車に乗ったメッセンジャーボーイが、畳の上を颯爽と駆け抜け、なにやら 大統領に耳打ちした。後になって知ったが、この知らせは日本に引き取られ離れ離れになった愛犬が、迎賓館に向かっているというものだった。大統領はこの連 絡を聞いてからまったく落ち着かなくなり、石油メジャー企業への便宜もまったく手につかなかった。正直、この時まで、ブッシュ大統領というのは、後進国に 戦争を仕掛ける事しか脳のない低脳俗悪人間だと思っていたが、こうやって愛犬に想いをよせるところをみて、我々と同じ人間には違いないのだなという気持ち にさせられた。おそらく、犬というのは人間の良心の部分を引き出すのだろう。やはり、犬は偉大な動物である。

 ブッシュの犬は13分24秒後に到着した。大統領と犬は会うや否や、ぼくや他の人たちの目をはばからずに、抱き合い、口付けしあい、人前で口には出しづ ら い方法で愛を交わした。その光景は、美しくもあったが、それ以上に非常に気持ち悪かった。なにせ、どっちも60過ぎですからね。
 この再会について、大統領は「我々はテロに屈しない!」と、愛犬の方は「適切に判断します。」とコメントを残している。ちなみに二人は、これ以降のすべ て の出来事に同じような趣旨のコメントを残している。察するにこれしか言葉を知らないのだろう。

 さて一行は今やショージ、ローラ、ジュンの3人になった。
彼らは、葉っぱと女子中学生が色づき始めた秋の京都を観光する事に決めた。行き先は、京都観光の定番である金閣寺。あの、寺を金箔で塗り固めるという、一 瞬建てた奴の人格を疑う建物ですね。彼らは高級車に乗り込み、運転手に金閣寺へ向かうよう伝えた。
だが、ここで一つの問題につきあたった。運転手いわく、紅葉シーズンの京都は観光客でごった煮ができるほどごった返し、観光地の近くともなれば、車の時速 が5センチになるほど渋滞するそうなのだ。そんなところへ出かけたら、出発予定時刻までに帰ってこれないのは目に見えている。
 ぼくは大統領一行の後続車に乗り込んだので、運転手の話を聞いたときの彼らの狼狽振りは拝めなかったが、得意の読唇術(読唇暦3日)を使って、大方の会 話 は聞き取れた。
ジョージ「そんなバカな!どうして、そんなことになるんだ!?」
ローラ「あら、どうしましょう?」
ジュン「適切に判断します。」
ジョージ「火星人とキムチ鍋食って踊った。」

 しかし、まもなくそれは取り越し苦労だった事が判明した。ご大層にも、警察の方々が金閣寺への道を大統領以外が通れないよう封鎖していてくれたのだ。さ ら に、金閣寺も大統領以外の人は入れないよう貸切にしてもらい、観光旅行に付き物の、うじゃうじゃいる観光客を見て「なんでこんなに人がいるんだよ?」「あ んたが来てるからだよ。」というベターな会話をしなければならないのを免れた。
 大統領はこれを聞いて安心したのか、ローラに「犬のエサは猫だ。」と言っていた。(と思う)
 こうして、一行は車のいない道路を走り、人のいない金閣寺を見て回るという、一般人にはついぞ味わえない贅沢を楽しんだのだ。

 さて、金閣寺を満喫した一行は、環境保護団体から「紅葉がきれいでしょう?でも、あんたが京都議定書を批准しないでいたら、この紅葉も失われるんです よ。」といわれる前に、そそくさと迎賓館に戻り、日米首脳会談をするからと部屋の中にこもった。表向きは世界について語り合ったといっているが、本当のと ころは不明。
 この後はなにやらしていたらしいが、大統領の同行取材ってのがあまりに退屈すぎて、寝てしまっていたもんだから、あまりよく覚えていない。テロリストに 狙 撃されるがケビンコスナーが身を挺して大統領を守るくらいエキサイティングなものを期待していたのに、全然ちがうんだもん。

 まあ、そんなわけで、ついにお別れのときがやってきた。
ブッシュは、別れの挨拶を告げると、気合を入れてエアフォースワンのタラップを上がっていった。
そして、残り2段というところで、ブッシュは振り返りこういった。「日本の皆さん。ワーーーーーー!」
ガタンガタンガタン
 ブッシュは、何事もなかったように立ち上がると、再びタラップを上がりだした。そして、同じように残り2段で振り返ると、こう言った。
「日本のみなさん。牛肉輸入ありがとう!」(本当にこう言ったかどうかは知らないが、ぼくにはこう聞こえた。)そして、ブッシュは機内へと姿を消し、韓国 へと飛び立った。
 彼は、もうここにはいない。だが、我々の心には一生とどまるのだ。あつかましいにもほどがある。

 さて、ブッシュが帰ったので、2週にわたってお送りしてきた訪日記もこれでおしまいなのだが、ぼくには最後までどうしても分からなかった事がある。それ は、あいつが何しに来たのかという事だ。
 演説も会談もいつもと同じ言葉を繰り返すだけで、特に日本でやる意味はないし、小泉と愛を交わしたかったというのも、小泉は呼べばすぐにアメリカに駆け つ けてくれそうだから、日本に来る理由にはならない。
 そうすると、単に遊びたかっただけなのではと思えてしまう。つまり「韓国まで行くし、ついでに京都でも見てくるか。どうせ旅費は国持ちだしな。」という 発 想だ。
なんとまあ、大統領ってのは気楽なお仕事ですね。

2005.11.18/11.25

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