もう、数年前の事にも思えるが、ほんの数週間前、福田康夫が自民党の総裁選出馬を
辞退した。これによって、総裁選の顔ぶれは、谷垣、安倍、麻生という、Xリーグの5位争い以上に、つまらないものになってしまい、しかも対戦相手の実力を
考えた場合、安倍晋三(731部隊とは多分つながりは無い)の勝利は、ほぼ間違いなくなってしまった。
福田の不出馬は、様々な点から見て大変ショックな出来事であり、これによってこの先いくつもの弊害がこの国を飲み込むことが予想される。例えば関係の悪
いアジア外交。アジア重視の福田が抜け、中国人を挑発することに夜の営みと同程度(あるいはそれ以上)の情熱を傾けてきた、小泉外交を踏襲する安倍が総理
になれば、今まで以上にアジアとの関係が冷え切るのは目に見えている。また、安倍と奥さんの関係が冷え切ることだろう。
しかし、最大の弊害は、中国人達とどうやって過ごしたらいいのか、というような「パンダと一緒に餃子でも食ってろ!」といいたくなるような、どうでもい
い話ではない。1番の問題とは、なんといっても、この日本という国が、またしてもユーモアのある指導者を、手に入れるチャンスを逃した事だ。
世界中の歴史を振り返ったとき、偉大と呼ばれる指導者のほとんどが、あふれんばかりのユーモアセンスを持ち合わせていたという。
例えば、偶然にもNYの空港と同じ名前を持って生まれてきたジョン・F・ケネディ大統領。彼は、大統領だったとき、ソビエトの最高権力者ニキータ・フル
シショフとの会談の席で、次のような会話をし、自身のユーモアセンスを全世界に披露した。
会談の途中、ケネディはフルシショフのつけていた時計を褒めた。(実際は悪趣味この上なかったらしいから、外交辞令と考えられる)すると、フルシショフ
は単純にも舞い上がり、ケネディにその時計をプレゼントしたという。フルシショフ曰く。「わが国では、物を褒められたら、それを差し上げる習慣があるの
だ。」
それを聞いたケネディは、妻のジャクリーンにこう言った。「君を褒められたら困るな。」
さらにそれを聞いたフルシショフが言った。「いやー美しい奥さんをお持ちですね。ウッヘッヘッヘッヘ。」
こうして、ケネディはユーモアセンスに秀でた大統領というイメージを定着させ、逆にフルシショフはエロ書記長という肩書きを手に入れた。この両者の相反
するイメージができたときに、冷戦の結果が決まったといっても決して過言ではないだろう。
ケネディだけではない。その他にも、有名な指導者の多くはユーモア発言に事欠かさない。以下はその中のほんの一例である。
「ブルータス、お前もか?(笑)」〜ユリウス・カエサル〜
「我輩の辞書に不可能の文字は無い(笑)」〜ナポレオン・ボナパルト〜
「人民の人民による人民のための政府(笑)」〜エイブラハム・リンカーン〜
しかし、ユーモアにかけては、あの2次大戦時のイギリス首相ウィンストン・チャーチルの右に出るものはいないだろう。まさにユーモア発言の宝庫といえ
る。
例えば、あるとき、彼は死の恐怖があるかどうか聞かれて、こう答えている。
「私は神に会う用意ができている。神が私に会う準備ができているかは別問題だが・・・」
閑話休題
これらの人々のユーモアに比べて、わが国の指導者たちのユーモアセンスはどうか?残念ながら、それはメジャーリーグと福島県早朝野球大会ぐらいの差があ
ると言っていい。
歴史的に見て、森義朗が「レイプする人は元気があっていい。」といった以外に、ユーモアと呼べるような発言は、何一つ無かった。こういう人々は、一応、
笑わそうと努力はしてるんだが、日本の政治家の場合、つまらない冗談でも笑ってくれる愛想笑いの中で育ってるから、いわゆる親父ギャグしか出てこないんで
すね。
ちなみに、その手のもので有名なのは、鈴木善幸内閣で外務大臣だった桜内義雄のギャグである。
彼は、アメリカで要人と会ってる際に、突然「アイ アム
チェリーボーイ!!(俺は童貞だ!)」と叫ぶジョークを披露。世界に恥をさらしたのだった。(まあ、彼が政治家であることを考えると、本当にチェリーボー
イだったのかもしれないが・・・)
さて、現在の日本の指導者小泉純一郎も、この例にもれるわけではない。むしろ、国民受けのよい首相という虚像を保持しなければいけない分、彼の場合はつ
まらないジョークを飛ばす傾向が顕著であり、そのお陰で、歴史上でもっとも数多くつまらないジョークを飛ばした首相としてギネスブックに認定までされる名
誉まで得ている。
下はその一例である。
先日のサミットの席での話。ドイツのメルケル首相がクマに似ているという話で各国首脳が盛り上がってるところで、メルケルが口を挟んだ。
「クマといえばね。こないだドイツでは、希少動物のクマ(Bear)が密猟者に殺されちゃったのよ。酷い話でしょう・・・」
すると、小泉は突然活気付き次のようなことを口走ったという。
「耐えられないね!(unbearable)我々は批判に耐え(bear)なければならない!」
何事かと思ったら、ベアとかけてるジョークのつもりなんですね。なんでもこの後には「なあ、ブッシュ俺とベアルックしようぜ。」と言ったとか言わないと
か。
他にも、「まんまんまるくまんまるく」や「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」や「ソフィア・ローレン!」等、あげていけばきりがないが、
それらのほとんどはよく恥ずかしげもなく口に出せるなというような酷い代物である。
これほどまで政治家のユーモア事情にお寒い国に住んでるゆえ、ぼくは福田に期待していた。あの皮肉っぽい語り口と独特のユーモア。現存する日本の政治家
種の中では、おそらく最もユーモアのある政治家だろう。もし彼が首相になれば、もっと面白い事をしてくれるはずであっただろう。だが、彼が立候補を断念し
た事で、どれもこれも叶わぬ夢と潰えてしまった。
残念ながら、我々はこれから数年間、安倍か麻生か谷垣かという、明らかに風呂場の洗面器よりユーモアセンスにかける首相の下で歩んでいかなければならな
くなったのだ。
このままでは、記者会見は苦痛になり、国会中継は今まで以上に退屈になり、つまらない親父ギャグだけが市民権を獲たといわんばかりに、街を闊歩する事態
になりかねない。
行き着く先は、今まで以上のユーモアセンスにかけた国家である。これから先、このまま笑いの分からない政治家が、のさばっているようならば、以下のような
ジョークが、これまで以上に世界中で聞かれるようになるだろう。
問・月曜日に日本人を笑わすにはどうしたらいいか?
答・金曜日にジョークを言え
ぼくは、これを理解するのに3日かかったが、とにかく、ステレオタイプの日本人はそれほどユーモアセンスにかけるという意味らしい。そんな国と思われて
いいのか?
いまこそ、ノーの声をあげよう!求む!ユーモアのある政治家!!
06.08.14
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