突然だが、はじめにお詫びをしておかなければならない。
今日扱うニュースは、すでにそれが盛んに報道されていた時期からかなりの日が経っており、とてもタイムリーな話題とは言い難い。今ではすっかり、アライ
グマの風太やアザラシのタマちゃん、それからオットセイのボリス・エリツィンらと同じように、過去のニュースになってしまったからだ。
本コラムが時事ネタを扱うものである以上、本来ならば、この話題が紙面を賑わしている時に、書かなければならなかったのだが、ちょうどその時期に、たま
たま歯科検診や腎臓検査、前立腺ガン、それから耳掃除やEDの治療が重なってしまい、ついに今至るまでになってしまったのだ。
かなり遅きに失した感は否めないが、しかし、この話題はどうやっても避けて通れるものではないし、また、いくらテレビでジョンベネちゃん事件ばかり放送
してるからといって、無視していいものでもない。この問題は、日本の将来を左右する重大問題であり、話題の時期を逸したとしても、我々はこの問題に常に関
心の目を向け、それこそ、子の代、孫の代まで話を受け継がなくてはならないのだ。
さあ、自己正当化を終えたところで、本題に入ろう。今日扱う、日本の道筋を決める重大な時事問題とは、もちろんクリントンの不倫問題ですね。
失礼。間違えた。これは、昨日中年の男たちの前でおこなった”クリントンに学ぶブサイクとやる方法”のテーマだった。ぼくが扱いたいのは、イラクからい
なくなった自衛隊の話だ。
ご存知のように、陸上自衛隊は、およそ1月半ほど前に、長きに渡って滞在していたイラクのサマワから撤退した。陸自は、イラクにいる間、イラク人と米軍
と日本政府のために、キャンプに閉じこもったり、オーストラリア軍の後ろに隠れたりといった、大変過酷な作戦を立派に展開してきた。そして、そのかいもあ
り、イラクには平和と民主主義が根を下ろし、自爆テロと内戦すれすれの戦闘がはばをきかせるようになったわけですね。
しかし、今年に入ると、世界の多くの国がいいかげんイラク問題に飽きてきて、イラクから兵を撤退しはじめた。そこで、陸自も、日本人の第一原則”まわり
の人々に従え”に則って、撤退したというわけだ。
このニュースに多くの日本人は安堵した。「ああ、ようやく自衛隊が戻ってくるよ。」「一人の死傷者も出さずに帰ってきてよかった。」「これで今年の雪祭
りの雪像は大丈夫だ。」そう、日本人はようやく混迷のイラクと縁が切れたと安心して、また24時間テレビ視聴に戻っていったのだ。
しかし、日本とイラクの腐れ縁は、これで終わりではない。”陸自完全撤退v(^-^)v”の文字が学級新聞を含むすべてのメディアを彩ったため、多くの
人々が、イラクから自衛隊がいなくなったように思っているようだが、実は、まだイラクに残ってる自衛隊があるのだ。それが航空自衛隊だ。
読者の中には、この事実を今はじめて知った人もいることだろう。しかし、このニュースは、まあ、知らなくても無理はない。もともと航空自衛隊というの
は、社民党のように影の薄い存在であり、その上、イラクでの活動も、陸自のように英軍に守ってもらうような派手な活動はなく、テロリストだらけの土地へ物
資を空輸するという極めて地味な部門を担当していた。そして、それゆえほとんどニュースにもならなかった。そんなニュースにならないような空自が、イラク
に留まったことを、人々が知らなかったとしても、別に驚くには値しない。
第一、ぼくですら、この話を知ったのは最近のことなのだ。おととい見た夢の中で、アンゲラ・メルケルに「で、航空自衛隊はいつまでいるの?」と聞かれる
までは、そんなことは露ほども知らなかった。
しかし、たとえ我々がその事を知らなくても、彼らは実際にイラクに残っているのである。しかも、ただ駐屯地でトランプに興じるためだけに残ったわけでは
ない。なんと空輸する対象地域を今より拡大し、バクダッドなどの世界有数のテロの温床へも出かけて行く事になったというのだ。そんなところへ出かけていっ
たら、途中で対空ミサイルを持ったテロリストや、血に飢えた殺人鬼、松本千津夫などがいるとも限らない。自衛隊のイラク派遣の根拠になった非戦闘地域条項
は完璧に骨抜きである。
「なんだと!!許せん!!ワシの若い頃は、魚の骨を歯に突き刺しながら食べるのが、慣わしじゃった。それが骨を抜くとは!!だから最近の若いもんは軟弱な
んじゃ!!」
「まあまあ、おじいさん。憤慨するのは分かりますが、今話してるのは自衛隊の話であって、魚の骨の話じゃないんですよ。危ないですから、そのマシンガンを
置いてください。それに、あなた所持許可持ってないでしょう。違法ですよ。何?狩猟用だからいいって?へー、あなたはマシンガンでウサギを狩るんですか?
珍しいですね。」
ババババーン!!
危ない。危ない。危うく死ぬとこだった。これだから、爺さんは嫌なんだ。
さて、航空自衛隊がテロリストの上空を飛び始めた話も、我々がそれを知らない話もすでに述べた。だが、この戦闘地域での活動はいったい誰が誰の了承を得
て決めたというのだろうか?最初の方でも言ったが、これは後々に大きな影響を与えることが確実で、決してブラット・ピットがアフリカから養子をもらう時の
ような、軽い気持ちで決定してはいけないのである。
だが、国会での論議はなきに等しく、報道による問題提起もまったくなかった。この問題は、我々が、帰還した陸自隊員が留守中に男を連れ込んだ妻を目撃す
るシーンをテレビ観戦して涙を流している間に、まるでそれを隠れ蓑にするかのように、ひっそりと実行に移されたのである。
おまけに、今現在の空自の状況も、まったく国内で報じられていない。そんな状況では、彼らがどこにいるのかも、何を運んでいるのかも、どれほど人殺しに
加担しているのかも、我々には知るよしが無いのだ。こんなに報道されない状況ならば、ぼくは、航空自衛隊が、ナメック星に北島三郎のカセットテープを届け
ていたとしても決して驚かないだろう。
この姿勢は、まるで我々にイラクの空自の事を、知って欲しくないといってるかのようである。このことは、裏を返せば、やましいことをしてるから知られた
くないという意識があるのではないだろうか?何の問題も無いというのなら、堂々と報道されてしかるべきだ。なのに、隠したがるというのは、何か裏があると
思われても仕方がないだろう。この問題からは、何やらきなくさい臭いが、プンプンしてくるのである。
自衛隊やそれを指揮する政治家たちが、空自を国民から隠して、いったい何をしたいのかは分からないが、しかし、このまま、我々国民を置き去りにする姿勢
がまかり通り、事が進んでいけば、いずれ権力者が好き勝手やれる(例えば、食事の後食器を洗わないとか、遊んだ後おもちゃを片付けないとかですね。)時代
がくることは間違いない。それを、回避するために、我々は、まず、まだイラクにいる自衛隊のことを頭に入れ、この生ゴミの日のゴミ集積所のようなきな臭さ
のする根源、源泉を見極めるべく努力しなければいけないのではないだろうか?
ちょっと待て!なぜ、ぼくの脇を見る!?
2006.09.01
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