2569.2回。これは、小泉が首相になってからの5年間で、ぼくが死にたいと思っ
た回数だ。
思えば、この地獄のような5年間、よく自殺せずに生き続けられたものである。あのたてがみをヒラヒラさせたゲイっぽい男が首相になってからというもの、
彼の、あの宇宙人まがいの言説に胃をキリキリさせ、ブッシュにヘコヘコするという外交姿勢に逆上し、米百表の精神で国民に痛みを分かち合ってもらうと言い
つつ自分は高い給料をもらうという改革の数々に絶望を味わったものだった。
しかも、奴は、いつまで経っても辞める気配を見せず、逆に、昨年の衆院選挙では、郵政民営化という、貯金する金もなければ、手紙を出す友達もいないよう
な人間にとって、トム・クルーズのサイエントロジー信仰以上に、どうでもいい事を連呼するだけで、選挙に大勝してしまうという暴れっぷりで、我々、民主主
義を愛するもの達に、辛酸をなめさせたのだった。
こんな事が続けば、当然、いくら前向きな人間で「いや、死んでません。ミイラになってるのは、治りかけてる証拠です。」と常日頃言ってるような人間で
も、自殺したくなるというのが、関の山で、実際、ぼくは何度も、ビルから飛び降りようかと考えた。
だが、ぼくが、ビルから飛び降りようとするたび、誰かしらが止めに来たのだ。
まず、はじめにキリスト教徒がやってきた。彼は、自殺しようとしている、ぼくに向かってこう言った。
「自殺は、この世で最大の罪で、そんな事をしたら、間違いなく地獄行きですよ。」
「だから、なんだってんだ!?地獄でもどこでも行ってやろうじゃねえか!!」そして、ぼくはビルから飛び降りた。
続いて、哲学者が自殺を止めにやってきた。
「我々は、確かに不条理な世の中に生み出された存在です。だからこそ、死に逃げずに生き続けなければいけないんですよ。カミュが言ったように、”自殺しな
いことは、偉大な英雄的行為”なのです。」
「俺は、別にヒーローじゃなくてもいい。臆病者で十分だ!!」ぼくは、またしても飛び降りた。
最後に、小泉がやってきて、こう言った。「死にたいなら、死ねばいいんじゃないですか?」
「ああ、お望み通り死んでやるよ。」ぼくは言った。
「だけど、憶えておいてください。あの世は、私の仲間の政治家でいっぱいですよ。」
これを聞いて、ぼくは、自殺をやめた。
閑話休題
しかしながら、今度の9月で、その地獄のような日々も終わりを迎えそうである。9月になれば、小泉の自民党総裁の任期が切れ、首相職も退任することが決
まっているのだ。そう、我々はついに地獄のような日々から解放されるのである。(後は、彼がプロレスラーのように引退と復帰を繰り返す人間でないことを祈
るばかり。)
さて、そうなると、別の問題が浮上してくる。すなわち、彼の次に、この国の舵取りをする人間は誰なのかと言うことだ。
現在、その椅子は、4人の男達の手で争われており、毎日毎日、醜い攻防が繰り広げられている。しかも、この争いは、民主党の代表選挙と違ってメディアの
関心度も高く、今マスコミは、その話題で持ちきりなのだ。それゆえ、当然、国民の関心も高く、多くの人々が、その勝負の結果が出るのを、今か今かと待って
いる。これほど、国民の関心を集めたレースは、最近の競馬界には、まるでなかった。だからこそ、このレースは、不振と借金にあえぐ、地方競馬の救世主的存
在になっているのだ。
それでは、このポスト小泉レースに、出走予定の、馬達をご紹介しよう。
枠番・馬名・騎手・傾向・オッズ・予想(◎=本命 ○=対抗 ▲=穴 ×=大穴)
1枠1番・ミサイルシンチャン・安部・逃げ・1.2倍・◎
1枠2番・ジミーザイムショウ・谷垣・地味・12.0倍・×
2枠3番・ゼンカンボウチョウカン・福田・差し・2.6倍・○
2枠4番・アンチチャイニーズ・麻生・暴走・7.8倍・▲
「さあ、白熱のGT”ポスト小泉杯”1600メートル。まもなく出走です。このレースは、無用な箱物として、各界から批判されてる、○○競馬場からお送り
しています。」
「さあ、各馬がゲートに向かって、いっせいにゲートイン。今・・・スタートしました。」
「4頭とも、まずまずのスタート。だが、先頭に立ったのは、ジミーザイムショウ。地道な景気対策が評価された結果です。しかし、地味であることには変わり
がない。すぐに、拉致問題で得点を稼ぐミサイルシンチャンに追い抜かれた。」
「500メートル通過して、依然、トップは、ミサイルシンチャン。しかし、ゼンカンボウチョウカンが中国訪問を携えて、内から差し込む。先頭に経った
か?」
「おーと、アンチチャイニーズが、暴走し始めた。”台湾は国!!台湾は国!!”と叫んでおります。しかし、速い速い!暴走した、アンチチャイニーズが、他
をかわしてトップに躍り出た。いや、しかしゼンカンボウチョウカンも負けていないぞ。」
「1000メートルを通過。現在、先頭は、アンチチャイニーズとゼンカンボウチョウカンが争ってる状況。ミサイルシンチャンは少し遅れ気味か?いやっ、し
かし、やはり一番人気のミサイルシンチャン。再び拉致問題で得点を稼いで、先頭グループに入り込んだ。」
「おっと、先頭グループが、マスコミの対応で追われて疲れてきたところで、マスコミからあまり注目されなかった、ジミーザイムショウが先頭グループに食い
込んできた。これで、四頭ぴったしと並んだ〜!」
「さあ、最終コーナーを回って、直線に入りました!現在先頭は、ミサイルシンチャン、以下、ゼンカンボウチョウカン、アンチチャイニーズ、ジミーザイム
ショウと続いております。しかし、どの馬も1馬身の中で争う、大接戦です!」
「さあ、残りは200メートル!ここで、アンチチャイニーズが仕掛けたか!?ミサイルシンチャンも食い下がらない!ゼンカンボウチョウカンも、差しにか
かったぞ!ジミーザイムショウは相変わらず地味だ!さあ、先頭は、ミサイルシンチャンと、アンチチャイニーズが並んだ格好!そこに、鼻差でゼンカンボウ
チョウカン!ジミーザイムショウも来たぞ!!さあ、ゴールは目前!!再び4頭並んだ!!ミサイルシンチャンはどうだ!?抜け出せない!抜け出せない!勝つ
のは、誰だ〜!誰だ〜!誰だ〜!!今、4頭並んだまま・・・ゴールイン!!若干、ミサイルシンチャンとゼンカンボウチョウカンが早かったか!?」
「しかし、写真判定です!写真判定です!ポスト小泉杯は写真判定に持ち込まれました。」
「さあ、今、双子山審判長がマイクを握りました。」
審判長「え〜、審議の結果をお知らせいたします。軍配は、ミサイルシンチャンに上がりましたが、写真判定の結果。全員同着となりました。」
「なんと、全員同着です!同着です!」
審判長「しかしながら、どの馬も自民党所属であることを考え、自民党の勝ちといたします。」
「なんということでしょうか!?勝ったのは、自民党です!ポスト小泉杯を制したのは、自民党です。」
そう、このレースは、誰が勝っても、自民党の政治家であることには、変わりない。結局、誰が首相になったとしても、小泉と大して変わらないのは、目に見え
ているのだ。
あー、死にたくなるぜ。
2006.04.11
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