社会風刺ユーモアコラム〜ハブの卵〜

コラム ☆すし屋にて☆

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 国連の安保理改革をめぐる議論が活発であるが、この一連の流れを見ていると、子ども のころに、読み親しんだあの物語を思い出す。
その物語とは、あの不朽の名作"あるすし屋の出来事"だ。


 ある街の大通りの一角。ひっそりと佇むようにその店は在る。そして、今夜もさまざまな人々が炊いたお米に酢をまぜ一口サイズにまとめたものの上に、生魚 を乗っけて食べるという行為に耽ろうとその店にやってきていた。

この一人の男も目的はみなと同じだ。彼の名前は京源真鷲(きょうげんまわし)。
「いらっしゃい。」店の主人とおぼしき板前が言った。
彼がカウンター席に腰を落ち着けると、奥の5人の男たちの声が聞こえてきた。
「トミー。最近どうだい?」男たちのうちの一人が言った。
「最高だよ。何しろ選挙で勝ったしね。そっちは、ジャック。」
「俺のほうは、最近不調だ。こないだの国民投票なんて散々だったよ。ジョージは相変わらずみたいだな。」
「まあな。」
「ボロージャとチンも大変そうだな?」
「最近は民衆がよくデモを起こすんで四苦八苦してるよ。チン、そっちもだろ?」
「ああ。でも、今日はそんなこと忘れて大いに食おうじゃないか。」
彼らは、うまそうに寿司をほお張っていた。
それと反対側に4人の男たちもいたが、彼らは何も食べずに奥の五人を眺めていた。

「オヤジ!とりあえず卵ね。」京源は、すし通なところを見せようと、ささやかな努力をした。だが、彼の努力もむなしく主人はこういった。「申し訳ないけ ど、うちの店は寿司が出せないんだよ。」
「何?だって、彼らは食べてるじゃないか?」京源は奥の五人を指差した。
「ウチの店は彼ら五人にしか寿司を握れないんですよ。」

京源が憤慨していると、4人組のほうが話しかけてきた。
「ひどい話だろう。この店は、あの5人にしか寿司を握らないんだ。」
「まったく、不当だよ。」京源は言った。
「この店が、このままじゃ、まずいと思わないか?」別の一人が聞いてきた。
「ああ。」
「俺は、ゲルト。それで、こいつらは、ルラとジュンとマンモハンだ。俺たちは、このすし屋を変えようという運動をしてるんだ。絶対にこのシステムを変えて みせるから、俺たちを支持してくれないか?」
「もちろんだ。がんばってくれよ。」京源は即答し、4人と握手した。

「じゃあ、1週間後にもう一度来てくれ。その頃までにはきっと変わってるから。」ジュンという名の男が言った。
「そんなに簡単なのか?」京源は尋ねた。
「あの五人を説得すればいいだけの話さ。簡単だよ。」ルラはそういって、奥のほうへあごをしゃくった。
「分かった。じゃあ、一週間後にもう一度来るよ。がんばってくれ。」

 それから7回太陽が昇り、そして7回太陽が沈み、京源は再びあのすし屋にやってきた。彼が、店に入ると、そこでは、ジャック、トニー、チン、ジョージ、 ボロージャ、マンモハン、ジュン、ルラ、ゲルトが一緒になって寿司を食べていた。京源はそれを見ると、彼らに尋ねた。
「やったのか?」
「ああ、やったさ!この店は変わったんだ。」ゲルトが答えた。

「よし!オヤジ!卵だ!」京源は威勢良く注文した。だが、主人は答えた。
「お客さん。ウチの店はあの9人にしか寿司が出せないんです。」

2005.06.14
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